現代美術家として、コンセプチュアルな作品を制作しつづける彼の、財布への視点とは? —こちらのCERTOは雰囲気にぴったりですね。
「使い始めて1年ちょっとくらいですね。
これをメインの財布として使っていて、カード4枚と名刺が3~4枚、
札、小銭、あとレスキュー用にバンドエイドが入っています。
普段はバッグをあまり持ち歩かず、作品の搬入や搬出でバッグを持つくらいです。
基本持ち物はスマートフォンとタバコ、こちらの財布のみでふらっと出かけるかんじです。」
—こちらの財布に決めたきっかけは?
「この「CERTO」のデザインだけを狙っていたわけではないのですが、
色々な商品をみて、これが男性っぽくていいなと思って。
実は、この財布を購入したのはヒロコ ハヤシの方と知り合ったからなんです。
知っている人がいる・つくっている人がわかると
その商品を手に入れることが多いですね。
僕にとってはそれが「関係性を思い出す装置」。
僕がこの財布を使うたびに、その人を思い出させてくれます。」
—「関係性」というのはやはり作品にも言えることですか?
「作品のコンセプトにもつながっています。
例えば僕の作品は、古着と写真を人からもらって制作します。
古着は「思い出を掘り起こす成分」。
高校時代の制服を見たら思い出がよみがえってきますよね。
それと一緒で、古着にはその人の存在がしみ込んでいます。
写真からはその人の輪郭や、目のくぼみ具合、
ポーズやコーディネートを写真からトレースし、
パネルに「木目込み」という技法ではめ込んでいきます。
「その人が着ていた服」を着て、
「その人」として作品の中に、200年くらいは存在する。
もともと、長女の手術が成功したときに感動して、
「たしかに長女が存在する」という実感が欲しくて、
彼女が着ていた服を使って作品をつくったのがきっかけです。
自分のことよりも、自分に関係のある人の出来事や製品に感動することが多いですね。」
—作品もモノ選びも「関係性」でできている。
ヤシキさんのお話からは、財布だけでなく、あらゆる持ち物も新鮮に見えてきました。