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TAKEO KIKUCHIの個性派ニットを作る工場へ
2024-02-15
ブランド40周年を迎えたTAKEO KIUCHI。
人間でも40年も経てば立派な大人だし、だからといって一人で生きているわけでなく、様々な人に支えられながら生きている。
ブランド40周年を迎えたTAKEO KIKUCHI。
人間でも40年も経てば立派な大人だし、だからといって一人で生きているわけでなく、様々な人に支えられながら生きている。
ブランドも同じで、TAKEO KIKUCHIが40年ブランドを続けてこられたのも、ご贔屓にしてくださっているお客様はもちろん、TAKEO KIKUCHIのモノづくりを支えてくれている方々がいるから。
ただカッコいいものを作るだけではない、ブランドの精神性やこだわりがTAKEO KIKUCHIの品々には一つ一つ込められていて、それら形の無いものを形にしてくれる方々にも40年間支えられているのだ。
例えばニット。
特にTAKEO KIKUCHIのニットの中でも、ひときわ強い個性を持つ『徳島ニット』。
限界を超えた度詰を行い、丈夫で、それでいてしなやかで美しい『徳島ニット』を作ってくれる工場が徳島県と高知県にある。
今回、MDの五十嵐とデザイナーの松村で、この『徳島ニット』を作ってくれている徳島ニットファクトリー、そして、その協力工場である高知県にある谷添ニットに取材に伺った。
『徳島ニット』づくりの工程は、谷添ニットで編みたてたニットの編地を、
徳島ニットファクトリーで つなぎ合わせ・仕上げ を行う工程で進んでいく。
元々、両社ともにスクールセーターの生産を行っており、スクールセーターに求められる着心地の良さと耐久性を追求する事によって生まれた、限界まで綺麗に詰まった度目が『徳島ニット』の特徴だ。
そしてなんと、谷添ニットの工場は元々は学校だったという所も、なんだか胸に迫るものがある。
編地を作ってくれている谷添ニットの皆さん。
中央の谷添裕二さん(以下、谷添さん)がお父様から仕事を受け継ぎ、家族で経営している。
ちなみに谷添さんの趣味は「釣り」。休みの日にはプロ級の腕前で大物を釣り上げる。
工場の裏手に作った菜園で野菜作りもしている。
工場の中に入ればニットの編立機がずらりと並ぶ。
谷添さんは毎日ここで、時には夜中までこの編立機と対峙し、度目を限界まで綺麗に美しく度詰めした『徳島ニット』を生み出しているのだ。
特徴的なニットの編立をする編立機は、新しい編立機では実現不可能。
あえて古い編立機を使用し、さらに谷添さんの改造により、その美しい度目を実現している。
また、実は工場内にある編立機は、半分くらい故障により稼働していない。
しかし、今動いている編立械が故障したときに、古い編立機という事もあり修理部品を見つけるのは非常に困難。そこで、稼働していない編立機から部品を取り出し修理するために残してあるそうだ。
つまり、ここにある編立機は、故障して稼働していな編立機すら『徳島ニット』を作るうえで、とても重要で大切な役割を持っている。
日々、谷添さんが編立機を微調整しながら編まれていく個性豊かなニット。
機械を使う時代になっても、しっかりと人の心が入ったモノづくりをしているからこその個性なのだ。
谷添さんはニットを作る人でもありながら、腕利きの機械エンジニアともいえるのかもしれない。
徳島ニットファクトリーでは、谷添ニットで編みたてられた編地をつなぎ合わせて仕上げを行う。TAKEO KIKUCHIの製品になる、非常に重要な工程だ。
リンキング(つなぎ合わせる作業)は、細かすぎて自動化出来ない作業。
ニットの編地同士のループ(ひと目)とループを手作業で繋ぎ合わせ縫製する手法だ。
この手法だからこそニット特有の伸縮性のある着心地が実現できており、職人が目落ちさせないようにひと目ひと目刺していく。
最終的につなぎ合わせたニットをプレスし、製品へと形作る。
谷添ニットで作られた編地とその思いを受け継ぎ製品にしていく工程は、非常にシビアで繊細で、だからこそ、ここでも人の手が存分に使われている。
徳島ニットファクトリー工場長の大野美寿雄さん(以下、大野さん)にニットが出来る工程や思いを伺い、また、実際に見ることで、商品を企画しデザインしている我々ですらあまり触れることの少ない「どの様な人がどの様な思いで作っているのか」という事を感じることが出来、そして、それらを知ることがとても大切なのだと改めて思い知らされた。
だからこそ、お客様にも我々を通じてTAKEO KIKUCHIの商品一つ一つには、我々の思い、さらに、それを形作ってくれている方々の思いも入っている事を少しでもお伝えできればと感じた。
前出の徳島ニットファクトリー工場長の大野さん、谷添ニット 谷添さん、そして徳島ニットファクトリー営業部 藤澤幸伸さんに取材中、ニットの話以外にも趣味のお話で盛り上がるひと幕もあり、とても温かく和やかな雰囲気でお話を伺うことができた。
そして取材をしていく中で、仕事(ニットづくり)が彼らの日常に、人生に、とても自然に溶け込んでいるようで、ただの仕事ではなく、彼らにとってニットづくりは「生きる」という事なのだと感じさせられた。
最後に徳島ニットファクトリーと谷添ニットの方からそれぞれ、TAKEO KIKUCHIのお客様へメッセージを頂いた。
「同じ機械を使っても、同じ仕上がりにはならない。」と言われる『徳島ニット』のモノづくりの真髄は、まさしく「人」なのである。