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スーツのすゝめ
2023-02-16
こんにちは。
デザイナー藤原です。
スーツのすゝめ、プロダクトノーツジャパン編です。
新しい出会いと日頃の感謝を込めまして、2023年春の新作スーツのご紹介させて頂きます。
遡ること昭和の時代
父親や、母親の、さらにはもう一世代前の話
私達の先代の技術者達は
日本人にとって
日本の生活様式や四季折々の季節に合う
理想的な生地を開発しました
それは世界には見ることがない
ジャパニーズヤーンカウント60番双糸
※一般的なインポート糸のレギュラーは72番以上の細番手を使用し、この番手はあまりお目にかかることがない世界基準でニッチな糸の番手です。
このスーツは
尾州を代表する御幸毛織様と共同開発したオリジナルの原料です
いつもその培われた歴史のある崇高な技術に翻弄されながらも、胸を借りる思いでお客様の新しい姿を想像し作り上げました。
糸、設計、織り技術、加工、仕上げ
全工程にこだわり抜いた素材
ダンガリーをウール100%にアレンジし
美しい仕立てと、シワになりにくく、色落ちしない、アンチエイジングタイプの素材で、安心して長く着用できます
ダンガリーの色目は、染料の調合からこだわり、調整しています
風合いもリジット仕上げ方式を採用し、洗いざらしのラフ感と、綺麗な目風を保つ最終生地仕上げで仕上がりました
尾州を代表する
山栄毛織様の卓越した匠の技術は
伝統工芸に近い繊細なもので
私達が忘れかけていた
日本のヴィンテージデザインを
現代に甦えらせてくれます
「梨地」と呼ばれるこの組織は
ネクタイでは「砂子」と呼ばれ、主にシルクを扱う、
着物のテキスタイルに使われてきた歴史があります
菊池武夫氏も過去、
この組織を使ったコレクションを行った事があり、
この生地にとても優雅な雰囲気を感じます
砂をまぶしたようなデザインは、
屏風や襖、色紙の裏側の装飾にも使用される「縁起を担ぐもの」として扱われています
そこに
英国式のチョークストライプデザインを大胆に加えた色気のある
タケオキクチ、オリジナルの和洋折衷スーツがここに完成しました
糸の美学
特別に作られた、絣りの装飾糸は
誇張ではなく
反対の概念である
まるで日本の美学のような「余情」
シンプルなオルタネートストライプにさりげなく飾られた糸はまるで
日常に溶け込む特別感をテキスタイルの中に見事に落とし込んでいます
爽やかに彩るネクタイを引き立たせるまでタイトでストイックな大人のスーツが完成しました
タケオキクチにしかないオリジナルの生地で街を闊歩しては如何でしょう
手間と時間をかけて作られた
カセ「綛」染と呼ばれる
染色方式を経て作られた至極の逸品
シルクやデニムで用いられるこの染色は
ぐるっとテンションをかけずゆっくり垂れるようにして巻かれたカセに、
穴の空いた管にカセをかけて、染料を噴射して色付けていく、方法です
濃紺に薄く香る緑が、エレガントな色を醸し出しています
糸の風合い、色の深さ、ムラなく美しく染め上げる伝統的なこの手法に
日本の紋「格子菱形」を加え、贅沢なシャドーマイクロデザインに仕上げました
以前、唄うスーツを紹介した通り、紋には願いが込められています
菱形は「厄を払う」紋様として使用されてきました
皆様の活躍される晴れの舞台にまさに相応しい1着となるように願いを込めて作られた特別なオリジナルのスーツになります
次は前回好評だったオーダースーツのインポート編を更新します。
世界の素材が揃うタケオキクチが考える2023年のスーツをご紹介していきたいと思います。