24.12.04
西崎弥沙の"お正月の食卓"スタイリング
スタイリストが教える、お正月のテーブルコーディネート
すぐに使える5つのヒント
12月に入り、一気に年の瀬ムードが高まる今日この頃。そろそろお正月の準備を、と考えつつも、家族分のお正月用の食器を揃えるとなると、金額もかさむうえ、収納スペースも限られているなど、悩みの種は尽きません。そこで手軽に楽しく華やかな食卓を作るポイントを、フードスタイリストの西崎弥沙さんに伺いました。
最近は、おせち料理を一からすべて作ることも、少なくなっていますよね。わたしは、友人の料理家にお願いして、自宅のお重を持参しておせちを詰めてもらっています。自分で作るのは、お煮染めやお雑煮くらい。がんばっても黒豆を煮るくらいです。
テーブルコーディネートも、普段は使用していない祝い箸と、塗り物や絵付けの器を出して盛りつけるくらいと、とてもシンプル。完璧なスタイリングを目指すのは心身の負担になるけれど、「祝い箸だけは用意しておこう」「今年は金と白の紙を付け足してみようかな」「いつもの器で代用できるかも」、そのくらい気軽に考えて楽しむようにしています。一度に全部やろうとするのは大変。すべてを揃える必要はないと思うんですよね。そこで、誰でも簡単にトライできるテーブルコーディネートのヒントをお伝えします。
1. 酒器を漆盆にまとめる
上質な漆盆に酒器をまとめることで、統一感が出て、洗練された雰囲気を醸し出します。伝統工芸のひとつなので、日本風情を感じられ、特におもてなしの場や特別な席では、見た目が整うことで場が引き締まります。持ち運びが楽になり、テーブルやお膳の上で酒器がバラバラに置かれることなく、整理された状態を保てるのもメリット。お酒とおつまみセットにするのもいいですね。
2. 2段皿をお重に見立てる
近年は、3段重すべてを埋めておせちを作る方も少なくなってきています。好きなおかずだけを詰めて、シンプルに楽しむのもいいですよね。そんな時は2段皿をスタッキングして、お重のように見立てて使うのもおすすめです。
例えばお煮染め以外の料理を少しずつ盛り付けたり、普段は取り皿としても活躍。卓上から冷蔵庫へそのまま移せて便利です。マットな質感でタフなものなら、作家もののように繊細すぎないので、日常使いにも最適ですよ。
3. 色使いのポイント
紅白と金色は、お祝い事の象徴的な色。紅白は縁起が良く、幸福や長寿を願う色とされ、金色は華やかさと豊かさを表現すると言われています。ペーパーや折敷のさりげない金のあしらいで、気軽にお正月らしい装いが完成。
食器を新調するなら椿と梅の花があしらわれた紅白の小皿がおすすめ。大きな絵皿だと気が引けてしまうけれど、小さな取り皿なら取り入れやすく洗う時も楽チン。いつもの食卓に色を取り入れることで、自然と「ハレ」の雰囲気が漂います。
4. 季節の植物をあしらう
松竹梅などは象徴的なモチーフ。新年や祝い事に縁起のいい植物とされているので、うまく食卓に取り入れることで、季節感や風情を感じられます。今回使用したのは、松と南天。お重のなかでも、南天の葉はアクセントになるし、松葉はすべて枝から外してきれいに洗い、一面並べた上にお料理をのせたりもできるから、あるとすごく便利だと思います。
TIPS.1
松を一枝切って箸置きに。松の枝に和紙を巻き、水引を巻いて留め、即席の箸置きに。水引がなくても、無地の白い紙と紐や糸があればOK。
TIPS.2
とっくりに南天の葉を飾る。末広のひょうたん型をしたとっくりのくびれに、南天の葉を水引で巻く。こちらも同様に白い紐や糸で代用も可能。。
TIPS.3
とっくりを花器の代わりに。背が高すぎず、他の食器とのバランスがいいとっくりに冬の草花を生ければ、食卓がぱっと華やかに彩られます。
5. 三つ肴を脚付きの器に
脚付きの器は、伝統的な和の器のひとつ。お重が小さい場合などに、通常一の重に入っているおせち料理の三つ肴(黒豆、田作り、数の子)を、最初のお酒のアテとして、別で付きの脚付きの器に盛りつけてみて。料理がより立体的に見え、視覚的効果で食卓にリズムが生まれますよ。
仰々しくしなくても、ちょっとしたコツで洗練された華やかさを簡単に演出できます。できるものから少しずつ取り入れて、気負わず楽しく新年を迎えましょう。
Photo:太田太朗
Interview / text:松本昇子
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西崎弥沙(にしざきみさ)さん
フードスタイリスト。雑誌、書籍、広告などで活動。スタイリングを担当した書籍に『甘すぎない、大人の味わい アイスクリーム&シャーベット』(家の光協会)、『あたらしい韓国料理』(主婦と生活社)、『平野レミの自炊ごはん』(ダイヤモンド社)など多数。
https://www.instagram.com/asimikazihsin/