20TH ANNIVERSARY PROJECT
“GIRASOLE”
CONTINUES
TO EVOLVE
進化し続ける“GIRASOLE”
GIRASOLE 発売20周年記念企画進化し続ける
“GIRASOLE”というモノづくり
繊細でいて強く、非現実的な世界観で、実用的。
金属のように見える質感の、革。
2004年の発売以来、定番カラーはもとより限定デザインや
限定カラーを発売しては
進化し続けている
「GIRASOLE」(ジラソーレ)シリーズ。
そんな魅力を携えた今年は20周年を迎え
記念の限定商品も発売するなど、
ますます盛り上がっています。
そんなブランドの代表作とも言える
シリーズについて話を聞いたのは、
ブランドを支えてきたデザイナー二人。
ブランド創設者でもある林ヒロ子(右)と、
20年以上を共に歩んできたデザイナーの佐野 太郎(左)に、
ものづくりを掘り下げました。
CONTENTS
Chapter.1
GIRASOLEとの出会い
Chapter.2
GIRASOLEによって開かれた、新しい世界
Chapter.3
現代の技術では再現できないほどの繊細さ
Chapter.4
20周年記念デザイン
Chapter.1GIRASOLEとの出会い
2024年、GIRASOLE 20周年おめでとうございます!
まずは、いちばん最初の「GIRASOLE」という素材との出会いを教えていただけますか?
林
一番はじめは、革の見本市で見つけました。
声にこそ出さなかったけど、ものすごい衝撃的でした。
佐野
最初は、ヤギ革に型押しをしたもので、いまよりももっと柔らかく、耐久性のない素材でした。
林
そう。柔らかすぎて、型押しの形が安定しないのです。革のサンプルが上がってくるたび、違う仕上がりになる。もっとしっかり型押しの柄を出せるように何度も革屋さんに通ってね。きっと嫌がられていただろうな、と思うくらい通いました。当時の生産管理の担当者が、ものすごいエネルギッシュだったから実現したのでしょうね。
佐野
その甲斐があって素材を牛革に変更し、型が深くシャープな、ハリのあるいまの革の雰囲気に落ち着いたんです。
ブランド創設者でもある林ヒロ子
Chapter.2GIRASOLEによって開かれた、新しい世界
GIRASOLEはそもそも、2004年のシーズンコレクションの中のひとつでしたよね。
それがここまでヒットするシリーズになるとは予想されていましたか?
林
革を見つけた瞬間、ヒットの予感はしたものの、ここまでのロングセラーになるとはとても思わなかったです!そもそも私も佐野も、デザインするのはスムース革(なめしただけの、シンプルな革)のほうが好きですから。
「LEO」(レオ)などのシンプルな革のシリーズですね。それが、なぜこの素材を使うことになったのでしょうか?
林
やっぱり見たことのない世界を見つけてしまったからですね。初めてこの革を見つけたとき、金属のメッシュにも見えたし、通風孔のようにも見えた。鉄が錆びて、腐食していくような・・・。想像力を刺激されたのです。
GIRASOLEのデザインプロセスは、スムース革とは真逆。形を追求するというよりは、どう素材を生かすか。GIRASOLEは、デザインに起こすのが本当に難しいのです。
佐野
まず、この素材で財布を作ろうというデザイナーは林さん以外、他にいないと思います。それに型押しされた革で、ここまで繊細に柄が出ているものって他に見つけたことがない。そのくらい表現としてのレベルが高い革だと思います。
20年以上を共に歩んできたデザイナーの佐野 太郎
Chapter.3現代の技術では再現できないほどの繊細さ
GIRASOLEの革について、もう少し詳しく教えてください。
佐野
GIRASOLEの革は、一般的な型押しよりもかなり高温高圧で、型押しと型抜きを同時に施しています。また型押しをするための「版」、これは真鍮を手彫りで彫っており、いまの技術では再現できないほどの繊細さで、本当に優れた技術です。
ひとつの製品の裏側に、さまざまな人の高い技術と工夫があるのですね。
GIRASOLEは、この20年の間にどのように変化してきましたか?
佐野
発売してしばらくは、最後の仕上げに顔料による「汚し」を手作業で入れていたのですが、いまは入れていません。時代に合わせ、よりクリーンなイメージに仕上げています。
また、以前は「箔押し」といってシルバーやゴールドといったメタリックの箔を貼り、色を出していましたが現在は「メタリック塗装」で色を出し、見た目や質感は変わらないまま、色が落ちにくい仕様に変更しています。
林
少しずつ仕様は変えながらも、大切にしたいところはきちんとキープし、進化はし続ける。細かいこだわりの積み重ねが、魅力を生み出しているのだと思います。
Chapter.420周年記念デザイン
20周年を記念した限定商品も発売していますが、デザインポイントについて教えてもらえますか?
佐野
GIRASOLEと同じくらい、ブランドで長く使ってきた「麻」と組み合わせた財布です。
「麻」という素材は、ヒロ子さんにとってどのような存在ですか?
林
イタリアでは、麻はベーシックな素材なんです。キャンバス生地ほど硬くなく手触りもいい。革との相性も良くて、大好きな素材です。麻がないと成立しない商品もこれまでにたくさんありました。
林
イタリアでは、麻はベーシックな素材なんです。キャンバス生地ほど硬くなく手触りもいい。革との相性も良くて、大好きな素材です。麻がないと成立しない商品もこれまでにたくさんありました。
佐野
こちらのデザインは、20周年なので「おめでとう!」の気持ちを込めて、リボンをあしらいました。蝶ネクタイや、ラッピングみたいな。
最後に、GIRASOLEファンのみなさまにメッセージをお願いします。
林
これからもファンのみなさまを驚かせるようなものづくりをしていきたいですね。
GIRASOLEの新作をデザインしていきますので、お楽しみに!
佐野
GIRASOLEのホリデーコレクションも、ぜひ楽しみにお待ちください。
PROFILE
HIROKO HAYASHI
林ヒロ子(デザイナー)
18歳から20年間トップモデルとして活躍。モデル時代からモノ作りに強い関心をもち、デザイナーを志す。1984年にデザイナーとして独立し、’93年から単身ミラノにわたり、『HIROKO HAYASHI』を設立。「モノを作ることは、自分と向かい合うこと、自分を探求すること」と、情熱をもってモノ作りに取り組んでいる。
TARO SANO
佐野 太郎(デザイナー)
京都府出身 1990大阪モード学園卒業後に22歳で渡伊、ISTITUTO MARANGONIで学ぶ。
在学中からミラノを拠点にフリーランスで活動。1999 林氏と出会い、生き方やデザイン哲学に感銘を受け師事、今に至る。